アパート経営の失敗例
■立地選びによる失敗例
そもそもアパート需要が少ない、需要はあってもすでにアパートの数が多すぎる場合には、アパート経営はほぼ確実に失敗すると言ってよいでしょう。
ところが、本当はアパート需要が少ない立地なのに、甘い言葉で勧誘してアパートを建てさせるような、悪質な企業も世の中には存在します。
他にも、1つの大学の学生だけをターゲットにしたアパートの場合、仮に大学の移転があれば、需要が激減するケースもあります。
また、隣地に高層の建物が建って日当たりが悪化する、嫌悪施設ができるといった、周辺エリアの変化によって入居者が減少してしまう場合もあります。
不動産投資の際に大切なのは、アパート経営に適した土地かどうかを見極めることです。
本当に賃貸ニーズは十分にあるのか、飽和状態ではないか、綿密に市場調査する必要があります。
アパートの入居率には周辺環境も大きく影響します。周辺環境で特に重視されるのは、最寄り駅までの距離・近隣の生活利便施設・公共施設などです。ショッピングモールや大学など人が集まる環境であればアパート需要も見込めます。
ただし、大学や工場などの単一の需要に頼るよりも、駅に近い立地の方が長期的に見て安心です。周辺環境の変化に影響を受けにくくなります。
アパートを建てる前に、土地の災害リスクを調査することも必要です。
市区町村が作成しているハザードマップで調べ、地盤調査をしっかり行った上で建築計画を進めるとよいでしょう。
しかし、アパートに適した立地なのかを自分だけで判断するのは難しく、土地活用会社や不動産会社に相談して判断していくのが現実的です。
■管理会社選びによる失敗例
物件管理が行き届いていないため稼働率が上がらないという失敗例もあります。
「問い合わせに迅速に対応してもらえない」「共有部分の清掃が行き届いていない」などの不満を持たれると、入居者が定着しない原因になります。
騒音などのマナーが悪い入居者が入ってしまったときや、家賃滞納があった場合の対応も、迅速かつ適切に対応しないと問題が長引きます。
マナー違反の入居者の影響で、他の優良な入居者が退去してしまい、質の悪い入居者だけが残ってしまうという悪循環になることもあります。
長期的に安定したアパート経営をするためには、良質な管理会社を選ぶことが必須です。
①こまめな清掃や迅速なクレーム対応など、しっかりサポートしてくれる管理会社かどうか
②マナー違反の入居者をできるだけ避けるため、しっかりとした入居審査を行っているか
③予め入居条件を付けたり、年収や保証人を厳格に審査してくれるか
上記3点を踏まえて管理会社を選んでください。
また、空室にならないようにするための入居者募集のノウハウを持っていることも重要です。
管理会社が管理している他の物件の稼働率はしっかり確認してください。退去がわかったら迅速な募集活動を行い、必要に応じてキャンペーンや家賃の見直しを提案のある管理会社なら、安心して任せられます。
オーナー自らが管理業務を行う「自主管理」を選ぶ方法もあります。アパート経営のノウハウを学べる、問い合わせに常に対応できる時間的な余裕があれば問題ありませんが、基本的にはプロの管理会社にお任せするのがおすすめです。
■メンテナンス(キャッシュフロー)に関する失敗
建物をこまめにメンテナンスしなかったために、劣化や老朽化の進行が早まり、入居者が集まりにくくなって結果的に家賃下落を招いてしまったという失敗例があります。
アパートは経年リスクによる損失が多く発生する傾向です。老朽化が進むと空室率が上がりキャッシュフローが悪化、修繕のめどが立たないという事態に発展することもあるでしょう。
大きな問題が起きてから修繕すると、かえって修繕費用が割高になってしまうことがあります。
アパートは10~15年ごとに大規模修繕を行うことが一般的です。いずれくる大規模修繕に向けて資金繰りをしておかず、いざ大規模修繕に対応できないという失敗もあります。
対策として、定期的な点検と早めのメンテナンスを心掛けることが大切です。
建物管理の専門企業による定期的な点検を行えば、補修が必要な部分を早期に発見して、修繕の実施を提案してもらえます。
また、長期の修繕計画を立てておくことがも必要です。
専有部分のエアコンや給湯器などの設備も、10年前後で交換が必要になります。修繕費用の発生に備えて、あらかじめ予算を組み、家賃の5%程度を計画的に積み立てることをおすすめします。